舞台とお酒が好きな人の備忘録

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『レディ・オルガの人生』感想〜作品の感想編〜

『レディ・オルガの人生』前回は推しさん中心に感想を書きましたので、今回は作品自体の感想です。

ティーファクトリー『レディ・オルガの人生』

作・演出:川村毅

制作:ティーファクトリー

会場:吉祥寺シアター

T Factory(ティーファクトリー) 川村毅新作戯曲プロデュースカンパニー - 『レディ・オルガの人生』

元の作品のリーディング公演感想はこちら。
leo-writer.hatenablog.com

推しさん中心の感想はこちら。
leo-writer.hatenablog.com


生きづらい時代

本作は“生きづらい時代”の現代人に捧ぐ作品とのこと。これを最初見たとき、今って生きづらい時代なの?と率直に疑問に思いました。元の『フリークス』が生まれた87年に比べて、現代って人々の多様性により理解が生まれてるんじゃないの?と。

でも初日でこの作品を観た時に、“川村さんが考える生きづらさってそういういうことか”と納得しました。

劇中にも“何も主張してなくても、フリークスがテレビに出ているだけで主張になる”みたいなセリフがありましたが、つまり現代ってそういうことなんだよね。常にその人の主張や立場が求められる。人はどこかに所属している方が望ましいし、所属したらその団体の意見に同意することが求められる。

そういう風潮を生きづらいと感じられていたのかなあと。


“分かり合えなくていい。認めることは重要だけど”

自分の居場所を探して、フリークスの劇団にたどり着き、最初は居心地がよかったけれども彼らの主張についていけず元の生活の戻ったレディ・オルガ(という芸名だった女性)。そんな彼女が自分を迎えにきたアルビノ*1にいうセリフです。

この一言に、尽きるなあと思いました。

『フリークス』は、フリークと普通の人に引かれた境界線をぶっ壊す話。『レディ・オルガの人生』においての境界線はぐにゃぐにゃの柔軟なものなんだろうな。

人それぞれの考え方があっていいと思うし、その人の考えをむやみに否定することはできない。ある意味、曖昧な生き方っていうのも認められていいんじゃないかと思います。



なんか哲学チックになってしまいました笑。そんな感じで『レディ・オルガの人生』は笑えるエンタメ的なところもあり、社会派なメッセージもあり、そして推しさんのダイナミックなダンスシーンありの楽しい作品でございました。ちなみに台本と『フリークス』の書籍買ったら、川村さんが両方にサインしてくれて、握手までしてくれました。気さくな良い方だ〜。

*1:砂原健佑さん演じる生まれつきメラニン色素が以上で全身真っ白な青年