2/1観劇 『出口なし』
初めて行ってきました、KAAT神奈川芸術劇場!
『出口なし』
会場:KAAT神奈川芸術劇場
昨年アルベール・カミュの『誤解』を観て、哲学者の書く戯曲って面白いなーと思っていました。その時、シス・カンパニーの『出口なし』もやってたんだけど、そちらはタイミングが合わなくて観にいけず。。。今回のKAAT版にて再チャレンジと相成りました。
leo-writer.hatenablog.com
不気味綺麗な舞台セット。
本作は舞台セットがとても美しかった!中央に向かって狭くなっている台形の空間なんだけど天井が低いので、狭いのか広いのかよくわかんなくなる不気味さがありました。
また、この部屋鏡が一切ないというところもストーリーの進行上ポイントになるのですが、壁にはかつて鏡があったような箇所が数カ所あり。そこは今は何かを剥がしたあとみたいなのがあり、何も入ってない額縁のようなものだけが残っています。実はこの額縁、スクリーンになってるんですね。舞台の要所要所で、ふわ〜っと光のような映像が投影され、不穏な感じが増長されて素敵でした。
天井には規則的に並んだ蛍光灯のような照明。この照明も、登場人物の心情を表すかのように、一人が踊ると一本だけゆっくり傾いてきたりする。
全体を通して、舞台というよりインスタレーションを観ているような雰囲気がありました。
地獄のセルフサービス。。。!
『出口なし』という作品を簡単に説明すると。ある部屋に男一人、女二人が連れてこられる。なんの接点もない3人だが、お互いの素性を語りだすうちにそれぞれが犯した罪が明らかになり、お互いを傷つけ合うようになっていく。。。というようなお話。
この閉じ込められた部屋というのが、地獄、なんですね。3人は実はみんな死んでいて、なんらかの罪を贖うためにこの部屋に閉じ込められている。このことは割と序盤で明らかにされるんだけど、秋山菜津子さん演じるイネスが言ったセリフが恐ろしかった。
地獄なのに鬼がいないと思ったら、あんた達が鬼なのよ。つまり、地獄のセルフサービスってわけ。*1
ひえ〜。。。いくらセルフサービスが流行りだからって、地獄までセルフサービスにされたらたまったもんじゃない。つまりここに3人入れておくだけで、自動的にお互い苦しめ合う装置が完成するってこと。
前述の通り、この部屋には鏡がない。つまり、自分自身を確かめる術がない。自分の姿形を確かめるには他人の目を通して見るしかなく、自分が思っている自分と、他人に評価される自分とのギャップに苦しむ。。。てか、それは社会そのもので、鏡と出口がなかったら現実社会も地獄の密室も同じということ。。。ぞーっ。。。。
コンテンポラリーダンスとお芝居が交互に繰り広げられるという構成もあってか、分かりやすく楽しめました。ただ欲を言うとちょっと分かりやすすぎたかも。。。もっとドロドロした3人の争いも観たかったなあと。また違うカンパニーがやる『出口なし』があったら観に行きたいですね。
マシュマロよろしければ〜!
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*1:うろ覚え。。。