10/21観劇『誤解』
7月のproject navakovでファンになった稲葉賀恵さんの作品を観てきました。
leo-writer.hatenablog.com
『誤解』
作:アルベール・カミュ/翻訳:岩切正一郎/演出:稲葉賀恵
会場:新国立劇場 小劇場
稲葉さんの演出は、ちょっと陳腐な言い方になっちゃうかもですが、おしゃれでスタイリッシュだと思う。この顔合わせ映像もなんかおしゃれじゃないですか〜!?この動画を見ただけでも期待が高まる。。!
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陰鬱だけど、美しさも感じる舞台セット
舞台セットはシンプル。板張りの舞台の中央に、親子が経営するホテルの備品であるベッドやテーブルが置かれ、後ろに古い建物を連想させる紗幕がかかっているだけのもの。
この板張りの床が、薄汚れた風にペイントされてます。そのペイントの色がよく見ると青銅っぽい青だったりグリーンに見える色で、場面によっては透明感を感じさせる空間になってました。
同じことが紗幕にも言えて。最初の印象は古いホテルの壁なんだけど、話が進むにつれて上がったり下がったり様々な表情を見せてくれました。小島聖さん演じるマルタが、太陽の国である外国への憧れを語る場面では、丸く浮かぶ雲のような形になっていて。内側からぼうっと照らされて光る様子が、雨雲みたいではあるんだけどマルタの希望の象徴のようにも見えて、とても不気味でよかった。
あと、所々で小林勝也さん演じる年老いた使用人が椅子を引きずって来るときの音。板張りの床と椅子が擦れてる音なんだと思ったけど、時々マイクを通しても聞こえて来るような感じがして。。。あの音どうやって出してるんだろう。
誰が何を誤解したのか
本作に置ける大きな“誤解”は、宿泊客である男が、実は昔親子を置いて出て行った息子であり兄であると気づかなかったこと。そのことに気づかず、親子は男を殺してしまう。
それ以外にも、ラストシーンを観た時に私が感じた誤解がある。夫を殺されたマリアは、犯人である妹に詰め寄り最後には神に助けを求める。そこに劇中全くセリフがなかった使用人が「お呼びですか?」と現れ、お助けくださいというマリアに向かってきっぱりと「嫌です」と告げる。この衝撃的なラスト、人生に困ったら神が手を差し伸べてくれるというのは誤解だということなのか、と思った。*1
購入したプログラムに、ローレンスの“悲劇性は不幸へ食らわせる強い足蹴りのようなものでなくてはならないだろう”という言葉が載っていました。ある意味、拍子抜けしたラストシーンの印象は、ここでいう“強い足蹴り”だったのかもしれない。
不条理劇の感想ということで、なんかちょっとすかした感じの文章になってしまいました笑。ちなみにプログラム800円と激安だったので即購入したんですけど、なんかいまいち分かりにくい評論めいた文章しか載ってなくて、もっと作品解説して欲しいんだけど〜と思っておりました。そしたら、全くおんなじ意見の上に、解説も書いてくれているこちらの記事がありがたかったので貼っておきます。
https://www.hayakawabooks.com/n/n331bd01c46f2
マシュマロよろしければ〜!
marshmallow-qa.com
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*1:そもそも、この使用人に助けを求める行為こそも誤解と言えるんだけど