舞台とお酒が好きな人の備忘録

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雑感6/6『うつろのまこと-近松浄瑠璃久遠道行』C公演

先日のA公演に引き続いて、C公演観てきました。本公演、流れ的にはA→B→Cという順番で観るのが一番作り手のが観せたい構成にはなっているはず。しかし予算と予定の都合上、Bの前にCを観る形になってしまった。。。少し悔しいですが、Cの後に観るBもまた違う発見があって良いでしょうとここに負け惜しみを言っておく。

今回もネタバレ等、気にせず書いていきますのでご注意お願いします。



観た公演 6/6 C公演 マチネ(「出世之賞(出世景清)」+ 「名残之章(曽根崎心中)」+ 「生瓢之章(心中天網島)」)

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やはり推しは美しかった

C公演は全種類を時系列順に上演ということで、最初は2回目の観劇となる「出世景清」を描く出世之賞。推しは安定の美しさ。。。やはり、登場でちょっと泣いた。人形になって斜め左下を向く顔の角度が美しすぎる。ここだけ引き伸ばして部屋の壁紙にしたいです。

個人の体感の問題か、実際に演出上の修正があったのかわかりませんが、一点気づいたところ。阿古屋が弥若を殺そうとして、最初弥若は抵抗するんだけど阿古屋に説得されて自ら寝転び母の持つ刀で刺されるのを待つシーン。初見では結構弥若が運命を受け入れるまで、時間かかってたように見えたんだけど、今回はすんなり受け入れたような気がしました。

それもあってか、その後、阿古屋も自ら命をたった後の景清の慟哭が刺さった。初見は、「お前らは妻でも子でもない!」とか言っておきながら、自殺したらなきけぶって、なんて身勝手やねん!と思ったのですが。。。前のやりとりがすんなりだった分、景清の後悔の念が引き立ったのかもしれないです(あくまで当社比)。

さらに増してる徳兵衛の病み感

つづいて、こちらも2回目となる「曽根崎心中」の名残の章。前回にもまして、徳兵衛の“病み”を感じました。九平次に言いがかりをつけられて、目をしぱしぱさせるところが、もう。。。本作では、徳兵衛は本当は実家から金を返してもらえなくて、九平次を騙そうとしたんじゃないかという解釈が出てきます。そもあって、この“しぱしぱ”させてる表情が「あれ?俺は、本当はどっちだったんだっけ。。。?」というような自問自答の表情に見えてくる。

一方で、お初の方には強さを感じました。死ぬのを迷ってる徳兵衛を、しっかりと心中へと導いていくような。。。今も昔も、結局女性のが強いですね。

考えることいっぱい生瓢の章

最後は、初めて観る「心中天網島」を描いた生瓢の章。うーん、これが一番解釈が難しかった!

本作で扱われる3つの浄瑠璃作品の内、「心中天網島」が一番登場人物が多いんですよ。それだけでも、誰に視点を当てて観たらいいのかわたわたするんだけど、それに加えて生瓢の章では、作品のベースに敷かれている近松門左衛門と竹中義太夫のストーリーの核心にも触れてくる。正直な話、ちょっと混乱しましたね笑。その混乱も、演劇の醍醐味であり、楽しいんですけどね。

推しが演じる、孫右衛門兄さんはただ、ひたすらに、かっこよかったです。物語を追うのに夢中になっていて、治兵衛の子供が「おばあさまと、おじさまがやって来るのを見ました」というセリフがあって、ふんふん、おじさまが来るのねって普通に推しがおじさまの役っていうのを一瞬忘れていて。。。登場したおじさまがめちゃくちゃかっこいい人だったので、一人でびっくりしてました。あっ、おじさまって推しの孫右衛門兄さんのことか!って、なった笑。



2回目の『うつろのまこと』感想はこんな感じ。あと、追加公演もいれて4回観劇できるので、引き続き楽しみたいと思います。そういえば、千秋楽後の追加公演でちょっと騒動にもなりましたね。。。その点についても気が向いたら書いてみようかと。